2006年 08月 10日
土を塗ること
この土は何処から運ばれてきたのでしょうか?
木材資源が潤沢であった時代。
壁は木を使って造られました。
日本の壁を大別すると、時代と共に様相は変化しますが、
西日本は土壁の文化、
東日本は木の壁の文化と聞いたことがあります。
大学時代、安藤邦宏先生の講義で聞かされました。
直接、左官屋さんから話を聞いていませんが、
この土は、おそらく浜松市内、新都田の「泥コン屋さん」から運ばれてきた土・・・。
遠く、中国や、ヨーロッパから運ばれてきた土では決してありません。
地域の材料を使い、地域の設計者が関わり、地域の職人が腕を振るう。
一見、極めて閉鎖的な印象を受けますが、
これほど街並みとしての広がりが生まれる構図は在り得ません。
地方にあって、中央の設計者が設計を行い、
手間賃の安さだけで職人が集められ、
カタログに掲載された材料だけで建築が造られる。
一見、オープンで、開かれた印象の建築行為ですが、
決して街並みとしての展開は期待できません。
主張することだけが建築の目的のような、浅はかな行為・・・。
現在、建築の設計者は極めて上辺だけのデザインで、
差異を表現しようとする傾向があります。
「デザイン」という言葉の扱われ方が、あまりにも悲しい。
「デザイン」とは、単に形に留まるのではなく、
形を創る行為そのもの。
その在り方が問われるものです。
by a-kashi
| 2006-08-10 21:52
| 記録:大きな屋根のすまい
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