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東海館

先週末、伊東市へ行きました。
浜松から新幹線で熱海へ、それからJR伊東線で伊東まで・・・。
2時間程度の小旅行。

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なぜ伊東まで足を運んだのか・・・。
それは静岡県建築士会による
「地域貢献活動発表会と見学会」に、
運営側の一人として参加するため。

午前中は見学会、
午後は活動発表会と意見交換会。

見学会では、地元の方の案内で、
市内の建物を巡った。

僕自身は、発表会場の準備があったので、
実際に見て廻ったのは二つの建物。


安藤忠雄設計の「野間自由幼稚園」と、
この「東海館」でした。



「東海館」は昭和3年に創業された、木造三階建ての老舗旅館。

昭和13年頃(1938)、昭和24年頃(1949)に望楼の増築。
幾度かの増改築を行いながら旅館業を営んでいましたが、
平成9年に70年近く続いた旅館の長い歴史に幕を下ろしたそうです。

その後、伊東市に寄贈され、
平成13年には伊東温泉観光文化施設『東海館』として生まれ変わったようです。



ここでは、僕が「東海館」で感じた建物の魅力を記して置きます。

客室毎に競争して腕を振るったという、職人技の数々。
会場内の案内に記載されている、こうした多様なディテールの魅力もさることながら、
建物の「明るさ」、或いは「暗さ」の層構成に興味を持ちました。



松川側に開かれた南向きの客室。
その反対側に設けられた北向きの客室。

双方の客室は、今日の効率優先のホテルとは異なり、
単に中廊下の両側に客室を配するのではなく、
中央に光庭を設けた、ゆったりとした全体構成になっています。
木造の自由度を駆使し、増築を重ねた結果、こうした構成になったのかも知れません。


光庭は3層分。
平面的には、かなり狭い。
図面上で考えたら、設けることを躊躇するほど狭いと云える。

1階の玄関を抜け、目にする光庭は、かなり暗く感じる。
何となく、水槽の中を覗き込むようだ・・・。

しかし、上階に歩みを進めるに従って、光庭から差す光は徐々に強くなっていく。
客室、そして光庭を取り巻く廊下の雰囲気が次第に変わっていく。
当然のことながら、3階の大広間は明るく広い。

そして、その上にある望楼に至るや、四方は建具、ガラス面。
イマドキの明るさだ・・・。



1階廻りの少々隠微で艶っぽい空気が、
上階に行くに従って、少しづつ乾いていく気がした。


人工的な光で、雰囲気を意図的に変えるというような、強引な手法ではない。

「こうした形、こうした構成をとれば、きっとこんな明るさ暗さ、
こんな空気が自然に生まれるに違いない」と想像していた筈だ。
当時の人達のイマジネーションは、
現代に生きる僕達の、数十倍、数百倍なのかも知れない。


自然が持つ大きな力を、無意識に自分達の味方に付けている。
そんな気がしてならないのでした・・・。
by a-kashi | 2009-03-09 18:43 | 建築 | Comments(0)