カテゴリ:記録:入野のすまい( 12 )

竣工検査

今日、入野の住まいの竣工検査がありました。

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この住まいの特徴は続き間。

居間・食堂そして座敷、ご主人の寝室、奥さんの寝室。
4つの部屋が建具で仕切られながら、続いて行きます。

写真の奥に、もう一部屋が待っています。

普段のプランニングとは異なる形態では有りますが、
設計当初の違和感も、建物が完成に近づくと、
こうした住まいの持つ魅力を再発見することができます。

廊下が在って、部屋が取り付くクラスター状の形態でもなく。
ワンルームの構成でもない。

自分自身の価値観を超えて、住まい手と協働を進めることで、
新しい住まいのかたちが生まれるのは、
とても楽しいことです。


当然、住まいは設計者のものではなく、
住まい手自身のもの。


「ここには居らぬか!」という
吉良上野介を探す、忠臣蔵のセットのようですが、
何とも、しっとりした雰囲気になってきました。

建具を引くことで、新しい空間が広がる。
そんな楽しさが、この住まいには有ります。
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by a-kashi | 2005-12-27 21:28 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

道具箱

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「入野のすまい」

年末の完成に向けて、外壁左官工事の段取り。
目地の取り付けを職人さんが進めていた。




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現場に置かれていた道具箱。
鏝(コテ)で一杯だ。
おもちゃ箱を覗いた子供のように、何だかワクワクしてしまう。

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多種多様な鏝の形。
形もさることながら、その材質も変化に富んでいる。
まるで、水彩画の絵筆の様。

スチール製、ステンレス製、ここには無いが、木製、樹脂製の鏝・・・。

実際に手を動かし、実際に物をつくる。
こうした職人さんの知恵と技術がなければ、
僕達の描いた図面は、単に「絵に描いた餅」に終わってしまう。




ところで、今日の家作りは、誰が携わっても同じように仕上がる、
そして、問題なく出来上がる。
こうした流れに大きく傾いている。

ツーバイフォーの現場では、構造用合板に色の異なる墨が打たれ、
その色毎に所定の釘が決められたピッチで打たれて行く。
誰が施工しても、同じものができるように・・・。

品質管理という側面から生まれるこうした傾向は、
一方で誰がやったって同じなんだからという安易な思いを生み、
顔の見えない関係の中で家づくりが進められる危険をはらんでいる。


こうした仕事に誇りを感じることができるだろうか?
やりがいを感じることができるだろうか?

総ての仕事が、誰がやっても同じというように単純にマニュアル化されれば、
結局のところ「安ければ良い」という短絡的な世界に、最終的に行きついてしまう。



その人の技術が、そのまま表に出て評価される。
こうした左官仕事に、僕は魅力を感じる。
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by a-kashi | 2005-12-06 20:04 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

木工事

木工事が進んできました。
大工さんは、杉の床板張り。
鴨居などの造作材の取り付けに励んでいます。

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工事が、ここまで進んでくると、
お施主さんも楽しそう。
今日は現場での打ち合わせでしたが、
目を輝かせて、現場を見て廻っていました。

板が張られ、格子が取り付けられ・・・。
徐々にスケール感が生まれてくる建物。
年末の引渡しに向けて、これからが追い込みです。
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by a-kashi | 2005-11-05 10:48 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

天空が切り取られ

外壁まわりの荒壁が塗られ、住まいの輪郭がはっきりとしてきました。

まっさらな地面に基礎がつくられ、建物が立ちあがる。
天空を切り取るように。

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視覚化されなかった空気が、建物で切り取られることで、
質感をもってくるのが不思議。
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by a-kashi | 2005-08-31 20:04 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

土壁塗

土壁塗が行われました。

生コンならぬ、泥コン屋さんから仕入れた荒壁土が現場に運ばれ、
土壁塗が始まりました。
これもまた、ポンプ車ならぬ、壁土を圧送する機械を使って、
現場内のとろ舟に壁土が送られます。

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竹小舞は、貫の内側に施された内掻き。
遠州地方では、一般的に外掻きが行われているが、
貫伏せといった工程が省略出きる点、断熱材を入れるスペースが確保できる点等を評価して、
竹小舞を貫の内側に施してもらっている。
部屋内側から塗りこまれた荒壁。
下の写真は、その荒壁を外側から撮ったものです。

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こうした仕事を知っている職人さんは、まだ居ます。
けれども、こうした仕事をする機会が少ない。
十数年前までは、一般的とされた技術が、今、消え去ろうとしている。
単にノスタルジックな想いではなく、十分な検証もなく、
経済原理に合わないから、現在の指標に合致しないからと消えて行く技術を、
見直して行く必要があると思う。

こうした技術を、世の中から消し去ろうとしているのは、
自身が壁を塗るでもなく、また其処に暮らす、その人自身でもない。
僕は、椅子に座ってペンを握る立場でなく、
在野にあって汗を流す人の言葉を理解できる一設計者でありたい。
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by a-kashi | 2005-08-30 21:13 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

竹小舞

入野町の住まい。
左官屋さんの手で、竹小舞が出来あがりました。

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丸竹の間渡し竹を定規に、編み上げられた竹小舞。
この竹小舞を下地に、土壁が塗り上げられます。

竹、土、瓦、木・・・。
大地に帰る素材を使った家づくり。

そして、我々自身も大地に帰って行く。
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by a-kashi | 2005-08-09 20:50 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

竹小舞掻き

「竹小舞掻き」が始まりました。

上棟してから約10日が過ぎた現場。
今日から左官屋さんが入り、
縦横の間渡し竹の取付けを始めました。
間渡し竹には、直径9㎜程度の丸竹が使われます。
この間渡し竹を定規にしながら、割竹が結わえ付けられて行きます。

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写真をご覧下さい。
柱の2方向から、貫が柱を貫通しています。
通常、貫の厚みは15㎜程度ですが、
厚さが27㎜の厚貫を用いています。
貫構法というのは、木造の軸組みを編み上げるような構法。
細い部材を用いながら竹籠が強いように、
部材の接点数を増やすことで、建物全体の構造を考える、
古きに学んだ新しい構法です。

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屋根工事も進んできました。
これからが楽しみです。
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by a-kashi | 2005-08-03 20:22 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

現場に瓦が納められた。
淡路産の燻し瓦だ。

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現場で瓦職人さんから話を伺ってみた。

以前の瓦は、達磨窯で焼かれ松葉で燻されていた。
窯の中に置かれる位置で焼き上がりが異なり、
瓦一枚一枚の色が微妙に異なっていた。
また、寸法のバラツキが大きかった。
当時、現場での仕事は、瓦を寸法の大小で三種類に仕分けすることから始めたそうだ。
こうした瓦一枚一枚の癖を見て、気を配りながら貼って行く、手間の掛かる仕事だった。

瓦を焼く燃料は、薪、石炭、重油、灯油、ガスへと、
この50年間で変化してきた。
松葉での燻しは、現在ブタンガスを注入して行われているようだ。

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燻し銀に輝く甍。
葺き上がりが、今から楽しみだ。
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by a-kashi | 2005-07-27 18:21 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

祝上棟

入野の住まいが上棟を迎えました。

この住まいは通し貫構法。
土台の上で地組された軸組みが面として建て起こしされました。

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通し貫による構法というと、職人さんから大変だと思われることもあるが、
実際に建て方にかかる作業時間は一般的な現場と変わる訳ではない。
図面を読み、刻みを行う時間は掛かるかもしれない。
しかし、こうした時間は、その後の現場の段取りや、
建物全体の構成を、早い段階で理解することに繋がっていると思う。

棟梁から指示された仕事を只単に、個々の職人がこなすというのではなく、
皆が協力して仕事を進める雰囲気が生まれることも、見ていて気持ちが良い。
効率化とは距離を置いた、一見、前近代的な構法の先に、
今我々が失い掛けている人と人とのつながりや、
協働の形が存在していることを忘れてはいけない。

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屋根まわりを最後は固め、二日間に渡る建て方の作業が無事終了。
2階屋根に登り、上棟式が行われた。

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偶然ですが、現在進行中の現場が同時期に上棟。
さすがに今週はバテバテです。
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by a-kashi | 2005-07-23 21:38 | 記録:入野のすまい | Comments(0)

鉋掛け

大黒柱に立ち向かい、鉋(かんな)を掛ける竹村さん。
鉋をあてられ、杉の木肌が艶やかな表情を見せる。
今月下旬の上棟に向けて、気合満々。

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僕の子供の頃は、向いにあった大工さんの下小屋で、
鉋掛けをする大工さんの仕事をよく目にした。
「しゅるしゅるしゅる」と鉋くずが舞い上がる様は、
僕達の目を釘付けにした。

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しかし今、物づくりの現場が、僕達の日常の暮らしの場から消えてしまった。
というか、見えなくなってしまった。

浜松では、問屋街は卸商団地としてまとめられ郊外へ。
市場も郊外の中央卸売り市場へ。
威勢の良い仲買さんの声は施設の中。
街の中には響かない。

街が生き生きと楽しくないのは、
効率を優先して街の機能を純化してしまったことが大きな要因だと思う。
中心市街地に残ったのは、役所と単に物を売るだけの商店。

唯一街に出掛けて楽しいのは、デパ地下ぐらい。
そこで調理をし、販売しているという演出がなされてからだろう。
物づくりの現場も含めて、いろいろな暮らしの様が
日常生活の中に混在している方が楽しいに決まっている。


何だか話題が横道に逸れてしまいました。
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by a-kashi | 2005-07-06 18:37 | 記録:入野のすまい | Comments(0)